こんにちは。
山口鐵工です(^^)
いつもブログをご覧いただきありがとうございます。
今回は、2022年12月21日(水)に滋賀県彦根市のとある工場内のジブクレーン移設作業の様子をご紹介します!
ジブクレーンとは?
ジブクレーンとはジブ(アーム)を持つタイプのクレーンのことで、大きなものでは造船所で使用されるタワータイプや工事の進行に応じてマストの高さ調整ができるクライミングタイプ、壁や柱に取り付けるウォールタイプなど11種類のタイプのものがあります。
今回移設作業を行うのは、この中でも一番小さな部類になるウォールタイプのジブクレーンになります。
しかし小さな部類とは言え、人ひとりでなんとかなるようなサイズのものではなく5.5メートルのI型鋼が柱から突き出ていますのでなかなかの重量です。
実際に重量を計算してみたところ、なんと約200㎏もあったんです!
「こ、、これは重い」
さらに荷物を吊り上げるクレーンですので設置位置が高く高所作業になるため、その点も十分注意が必要です。
実は執筆者(以降、私)も、これまで小型のホイストクレーンの移設を何度も経験してきましたが小型のものでも高い位置に取り付いているので、なかなか大変。
作業が終わるたびに、
「ふぅ、しんどかった。。」
と疲れ果てていました。
しかし、今回のクレーンはそのレベルではありませんので我らが山口鐵工の鉄工所としての腕の見せどころです。
それでは、さっそく進めていきましょう!
現地到着から朝会!
この日は当日朝からの移動で7:30に出発です。
現地には9時ごろに入りました。
その後、荷下ろしを行い朝会に入っていきます。
この朝会は、社員の方と一緒に作業内容の確認と安全についての注意事項など、作業する上で重要なことを全員で共有します。
社長:「本日の作業はジブクレーンの移設です。高所作業になりますので・・・。」
いつもと違う引き締まった話口調に、
「お、なんだか凛々しいぞ!」
と感じて周りを見ると全員が真剣な眼差し。
「なるほど!こういった危険が伴う作業のときは、こんなに安全に配慮しないとダメなんだな。」
と改めて思えました。
そして、心のスイッチが入ったところで、いよいよ作業に入っていきます。
作業段取りと担当割り振り
この日は、私を除いて作業員4名。
社長とだいちさんのベテラン2名に加えて、新人2名で作業を進めていきます。
作業は大きく分けると、
クレーン取外し作業
クレーン取付作業
の2つです。
作業担当は、
クレーン取外し部隊・・・だいちさん、新人マサ君
クレーン取付け部隊・・・社長、新人にしぐち君
同時進行で進めていきます。
山口鐵工ファンの方ならご存じ鉄工所歴50年以上の大ベテラン「あきらさん」ですが、実は体調不良により欠員。
新人2名を導引しての、いつもよりも厳しい戦いに。
「これはかなり時間がかかってしまうのでは!!」
と、心配しながらのスタートとなりました。
作業開始!
今回は二手に分かれて同時進行での作業ですので、
「あっちへ行ったり、こっちへ行ったり」と撮影担当の私もウロウロしながら状況を把握していきます。
アニメのワンピース張りに「一方そのころ」を多用しながら、作業の様子をお伝えしていきますね。
それではまずクレーン取外し作業から見ていきましょう。
クレーン取外し部隊(担当:だいちさん、マサ君)
こちらの作業ポイントは、高所作業+重量物作業であること。
かなり高い位置にクレーンが設置されていて、高所作業車を使って作業していきます。
高所作業車はもちろん資格が必要ですので、有資格者のだいちさんがメインで作業を進めていきます。
作業の流れは、
クレーンアームの吊り上げ
サポートロッド取外し
支点ピン取外し
アーム取り外し
柱に付いているヒンジを切断して取り外し
の5つです。
最初に行うのは工場に据えられている15tの大型床上操作式クレーンを使って、これから取り外すジブクレーンのアームを吊るところからです。
取り外したときにアームが落下するのを防ぐと同時に、取外し作業が楽になるからです。
アームは、片一方の支点で支えていますので、極端にいうと先端が下に向けて下がっている状態。
この状態だとヒンジ部分のピンを抜くのがとてもやりにくいんですね。
そこで先端を吊り上げることで、支点部分にかかっている荷重が緩和されて、
「簡単に抜けたやん♬」
となるんです。
ということで、アームのサポートロッドを取り外してピンを「サクッ」と抜いていきます。
一方その頃・・・。
クレーン取付け部隊(担当:社長、にしぐち君)
こちらでは、取り外したクレーンを取り付ける準備を着々と進めています。
取付け部隊の作業の流れは、
ヒンジ部品の位置決め
ボルト穴開け
ヒンジ部品のボルト固定
サポートロッド用ヒンジ位置決め
ボルト穴開け
サポート用ヒンジボルト固定
クレーンアーム取付け
溶接
の8つです。
こちらチームの作業ポイントは、けっこう多い作業工数をいかに段取りよく進めていくかです。
社長の技術とノウハウがきらりと光る正に腕の見せどころ!
まずはヒンジの位置決めからはじめていきます。
写真のようにヒンジを仮固定して、ボルト用の穴の位置を決めていきます。
このヒンジがかなり重たいので
「どうやって作業するんだろう??」
と思っていたんですが、
「なるほど!こうやるのか」
と私もかなり勉強になりました!
私だったら直接ヒンジをクランプで掴みそうなところを、先にLアングルを固定してそこに乗せて位置を出すという方法です。
「うーん、さすが!」
こういったちょっとした工夫が作業効率を大きく変えますよね。
ちょくちょくこういうイケてる部分が隠し切れず出てしまうようです!笑
ボルト位置が決まったら、穴あけを進めていきます。
ここで登場するのが、ハイスペック穴あけドリルです。
私の経験上ですが、こういった厚みが10mm以上あるH鋼などに穴を開ける際に通常のドリルを使って大変な思いをした苦い思い出があります。
「二度とやりたくない。。。」
とめちゃくちゃ凹んだのを覚えています。
しかし、なんとこの穴あけ器を使うとみるみるキレイに穴が開いていきます。
「これは凄い!!」
と感動しましたよ。
こちらチームは作業工数が多いので、
「どうなるんだろう?」
と心配していたのですが、これなら問題ありません。
「あっ」という間に8個の穴が完成してしまいました!
話は取外しチームに戻って・・・。
クレーン取外し部隊(担当:だいちさん、マサ君)
戻ってくると、こちらも順調に作業を進めていました。
アームのピンを抜いてしまえば、もともと15tのクレーンで吊っていましたのでそのまま床に下ろすだけ。
「こんなに簡単に?」
と拍子抜けするぐらいスムーズにアームを降ろしてしまいます。
そして、ここからは溶接でガッツリと取り付けられているヒンジをガス溶断で外していきます。
ガス溶断は、だいちさんにとってはお手のもので凄い速さでガンガン切断していきます。
このあたりが熟練度の差がでるところで、慣れない人がやると切断自体にとても時間がかかるし切り口はガタガタになって切断部分をサンダーでキレイにしないといけなくなるしで、余計な時間を使ってしまうんですね。
それを一撃で仕留めるあたり「さすが!」のひと言です。
↑切断後の切り口
切断が終わったら、スプレーで錆止めを施し取外しチームの作業は完了です。
一方その頃、取付けチームは
クレーン取付け部隊(担当:社長、にしぐち君)
全ての穴を開け終えてヒンジのボルト固定までが終わった状態まで進んでいます。
このペース、メチャクチャ早いです!笑
作業開始は朝の9:30ごろでしたが、この時点でなんと11:30。
私の推測では、
「丸々1日かかりそうだな」
と思っていただけに驚きのスピード感です。
「私、見くびっておりました(反省)」
ということで、天井クレーンを使って取り外したアームを移動させて取付けチームの元へ運びます。
そして、ちょうど取外しチームの2人が作業を完了しましたので、ここからは4名体制でアームの取付け作業を行っていきます。
クレーンでアームを吊り上げた状態で、ヒンジにアームを入れ込んでピンを入れていきます。
簡単に聞こえるかも知れませんが、これもまたまた難易度が高い作業です。
人力だけではとても上手くできませんので、クレーンにチェーンブロックをカマしてアームを吊り上げることで高さや角度の微調整ができる状態を作って作業をしていきます。
私的にはこのあたりの作業も、
「あ、やっぱりノウハウがあるなあぁ」
と感じるところですね。
アームのピンを差し込んだら、サポートロッドを固定し取付け作業の完了です。
最後に溶接でしっかりと固定し、
ペンキ剥がれや汚れた部分にペンキを塗って、
移設工事の完成です!
今回想定では丸々1日と考えていましたが、なんと14時には作業を終了することが出来ました。
今回は、事前に下調べをし必要なものをしっかりと準備しておくことで、かなり段取りよく作業を進められましたよ!
最後に
山口鐵工では「NOと言わないことを大切に。」をモットーにしています。
今回のような設備の移設、設備修理なども承ります!
お客様の「あーしたい、こうしたいをカタチに」するお手伝いをさせて頂きますので
どんなことでも気軽にご相談くださいね!
それではまた!
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