こんにちは。
山口鐵工です(^^)
いつもブログをご覧いただきありがとうござます。
今回は、滋賀県のとある工場のクーリングタワーの水槽が割れて水漏れがしているということで、その補修をしてきましたので紹介します。
本記事を読んでいただくことで亀裂の様子や補修方法を理解していただけますので是非最後まで読んでくださいね!
それでは説明していきます。
クーリングタワーとは?
工場などで冷却水を必要とする装置を使われている場合、必ず必要となるのがクーリングタワーです。
クーリングタワーとは、冷却塔とも呼ばれるビル空調や地域冷暖房設備である冷凍機や、工場などの生産設備の冷却水を冷却するために使用する設備のことをいいます。温度が上がった冷却水は、冷却塔内で送風機で送り込まれた外気によって、温度が下がり再び冷凍機に送られます。クーリングタワーは冷却水を効率よく循環利用するための装置です。
クーリングタワーは基本的に屋外に設置されていますので、5年10年と使っていくとどうしても材質劣化が進んでしまいます。
特に水槽(タンク)の底はFRPで作られていますので、劣化してくると割れやすく今回のような水漏れが起こってしまいます。
そんな中、すぐに設備の入れ替えができれば良いのですが、なかなかそういう訳にもいきませんよね!?
そんなときに補修方法が分かっていれば、応急処置でしばらくの間は持ちこたえることが出来ます。
作業に当たってくれたのは、山口鐵工お抱えのFRP専門家Mr.クズハラさんです!
それでは実際の補修の様子を解説していきます。
亀裂の様子
この写真はクーリングタワー水槽の底の部分です。
今回の亀裂はかなりひどくてご覧のように約400mmほどの幅で完全に割れてしまっている状態。
担当者の方に伺ったところ、滝のようなものすごい水漏れだったそうです。
原因は設置時の歪みや素材の経年劣化、真空引き、また水自体に何かが含まれていて劣化を促進する場合もあります。
こちらは、当ブログで一度2022年7月にクーリングタワー補修の記事を書いていますが、同じ工場の横隣りの槽です。
ひとつのクーリングタワーにFRPの水槽が2つ付いており、一つは割れていませんでしたので底の状態を確認すると本来真っ平なはずの底面が少し膨らんでいます。
この膨らみが大きくなって限界を超えると亀裂や割れになってしまうようです。
ただ普通に使っている分には、底が膨らむ事は考えにくいので前述した原因の中でも真空引きに近い状態になっているのかもしれません。※詳しい使用方法は確認できていませんけどね。
とにかく原因はさておき、完全に割れた底の補修を進めていきます。
FRP水槽(貯槽)の底補修
補修はクーリングタワーの下に潜り込んで狭い中での作業になります。
足元はなぜかオイルだらけなのでMr.クズハラさんも凹んでましたよ!笑
今回補修で使用するのは、
↑ブチルテープ
ブチルテープとは、ブチルゴムを使った高い気密性と高い粘着力、そして耐水性を有するテープです。
↑FRP手積用ポリエステル樹脂
ガラス繊維にこちらのポリエステル樹脂を含侵させることで強化プラスチックになります。軽量且つ耐水性に優れています。
↑ポリエステル樹脂専用硬化剤
ポリエステル樹脂に添加して使用する硬化剤です。
↑ガラスマット
このガラスマットにポリエステル樹脂を含侵し強化プラスチックを生成します。
↑チッピングコート
こちらは車などの塗装膜の欠け落ちを防ぐコート剤。補修の仕上げで使用します。
これら4つのアイテムを使って補修をしていきます。
補修作業
まずはパーツクリーナーで割れ周辺の汚れを清掃していきます。
余計な油分などが残っていると補修の密着性が弱まりますので、かなり丁寧に清掃します。
清掃が終わったら、まずはブチルテープで割れを埋めていきます。
今回は割れ部分が広がっていますので、何重にもテープを重ねて広範囲にしっかりと密着させていきます。
次にポリエステル樹脂を作っていきます。
硬化剤は、ポリエステル樹脂100に対して1~3%程度の割合で配合します。
配合率が多ければ多いほど硬化が早まりますので、今回は気温も寒く雨が少し降っていましたので3%で配合しています。
ポリエステル樹脂の配合が終わったら、先ほどのブチルテープの上から塗り込んでいきます。
次にガラスマットにも樹脂を塗って含侵させます。
樹脂を含侵させたガラスマットをブチルテープの上から貼り付けて、さらにポリエステル樹脂をたっぷりと塗り込んでいきます。
このとき、出来るだけ何層にもガラスマットを貼り付けていきたいのですが寒い時期で硬化が遅いため、重みで剥がれてしまう可能性があるので注意が必要です。
どんどんガラスマットを貼付けて、厚みを付けていきます。
ガラスマットの貼付けが終わったら、仕上げにチッピングコートを吹き付けていきます。
チッピングコートを吹き付けることで耐衝撃性を向上させることが出来ます。
以上で補修作業の完了です!
ここからは、ポリエステル樹脂がしっかりと乾燥して固まるのを待ちます。
今回は24時間乾燥させてもらってから、クーリングタワーを再起動して確認していただきます。
乾燥時間は夏間ならもっと早い時間で硬化しますので、気温によって調整していくと良いですね。
今回はクーリングタワー補修作業の解説記事でした。
最後に
山口鐵工では「NOと言わないことを大切に。」をモットーにしています。
鉄鋼関連の製作から設備の修理、今回のようなクーリングタワー補修など工業関連のご相談もお受けいたします。
お客様の「あーしたい、こうしたいをカタチに」するお手伝いをさせて頂きますので
どんなことでも気軽にご相談くださいね!
それではまた!
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